2011年1月から2015年10月の間にthe Penn State Milton S. Hershey Medical Centerにて,21歳から90歳の合計305,339名を対象に感音性難聴もしくは伝音性難聴の有無を調査した,Retrospective cohort study.JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2017;143(4):350-354.
sickle cell diseaseの患者は除外している
フェリチン値は12.0 ng/mL未満でフェリチン低値と判断.
Hb値はNHANES III studyでの基準値 (男性: 21-49 years, <13.7 g/dL; 50-69years, <13.3 g/dL; and ≥70 years, <12.4 g/dL; 女性: 21-69years, <12.0 g/dL; ≥70 years, <11.8 g/dL としている.
難聴はICD-9のコードが付いている者: 389.0 (CHL), 389.1 (SNHL), or 389 (combinedhearing loss).
結果
・対象者の0.7%でIDAが見られた.男性に比べて女性の方が有意に有病率が高い(1.1% vs 0.3%)
・対象者で感音難聴の方が伝音難聴よりも多い(0.7% vs 0.2%).混合性難聴は1.6%の有病率.
・鉄欠乏性貧血は感音性難聴と混合性難聴と正の相関がみられた.
- IDAは難聴全体のオッズの増加に寄与する.(adjusted OR, 2.41; 95%CI, 1.90-3.01)
- 同様にSNHLの増加にも関与する(adjusted OR, 1.82; 95% CI, 1.18-2.66)
Hbはともかく,フェリチンはあまり日常診療では測定されない為、鉄欠乏と、貧血、そして鉄欠乏性貧血とを厳密に区別できない.
この研究では鉄剤投与による聴力の改善効果は調べられていない.
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鉄欠乏と難聴.関連があるとはびっくりです.
Limitationは結構ありそうですが,鉄不足が見つかれば介入しない理由はないですね.