ものすごく久しぶりの投稿です。今後はアウトプットのためにも続けていけたらと、思っております。
腎臓内科にかぎらず、内科診療を行っていくには、脂質異常症の管理には精通していなければなりません。
腎機能が低下している患者を見ることが多い我々はよく、アトルバスタチン(リピトール®)を使用することが多いです。これは昔の論文で、蛋白尿、高コレステロール血症を伴う慢性腎臓病患者に対して、ACE阻害剤/ARBに加えてアトルバスタチンを投与することにより、蛋白尿および腎臓病の進行速度を減少させる可能性が示されているためです。Am J Kidney Dis. 2003 Mar;41(3):565-70.
一方で、ロスバスタチン(クレストール®)もまた、一般内科ではよく用いられますが、これはいわゆるstrong statinと呼ばれる薬剤の中で作用が強力と言われているためです。
ちなみにスタチンの種類をまとめるとこんな感じ。
スタンダード(ウィーク)スタチン ストロングスタチン 一般名 プラバスタチン シンバスタチン フルバスタチン アトルバスタチン ピタバスタチン ロスバスタチン 商品名 メバロチン リポバス ローコール リピトール リバロ クレストール 半減期(h) 2.7 3.2 1.3 11 11 20 性質 水溶性 脂溶性 代謝 腎臓 CYP3A4 CYP2C9 CYP3A4 胆汁 CYP2C9
ところでこのロスバスタチンですが、他のスタチンとは異なり、CCrが30mL/min未満だとAUCが3倍程度になる、つまり血中濃度が上がりやすいことが知られており、最大投与量を5mg(普通は日本の場合10mg)にしなければなりません。
そも、ロスバスタチンは米国FDAでの承認時に血尿や蛋白尿の報告があったようですが、市販後調査が行われてこなかったようです。そこで、今回以下のような論文がpublishされました。JASN September 2022, 33 (9)
1767-1777.
CKD stage G4以上の患者割合は少ないものの、GFRが低下するほど、認可用量以上にアメリカでは使われており、
ロスバスタチンの用量が多ければ多いほど、血尿・蛋白尿のハザード比が増えますよ、との結論です。
ただし、日本に適応するにはうーん、という用量です。普通40mgも使いません。ですが、すくなくとも10mg程度まで使用している我々としては蛋白尿の増加はなるべく避けたいがために、がっつりとLDLを落とす必要がない限りは、ロスバスタチンの使用は控えるほうが良い『可能性がある』。結局はときと場合ですね。
個人的には、COIも何もないですが、アトルバスタチンであまり聞かなければ、エゼチミブ(ゼチーア®)を使って、それでもだめならロスバスタチンに変更、でいいんじゃないかなーと思っております。その前に、栄養療法や運動療法が最も大事ですがね!
以上です!
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