2022年9月18日日曜日

意識障害/3×5表/NCSE

 意識障害の鑑別で非常に有名なのは、『AIUEO TIPS』だと思います。

病院によっては左のひょうの分類だけでも10秒以内に言えるように仕込まれることさえあります。
image.png

・・・当然僕もおぼえたものの、個人的には網羅的であり、表として持参しながら確認するにはいいかもですが、診療の流れの中ではあまり役に立たないことも多いです。
そこで、僕が初期研修をした病院のボスが以下のような意識障害の鑑別方法を作成しました。これだと、流れに沿った診療ができて、漏れも少なくなるのでおすすめです。意識障害の3×5表といいます。
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あのひとで鑑別にあげていないものはないかと考えたとき、残るものとしては、尿毒症、髄膜炎、てんかん(NCSEを含む)、内分泌疾患(甲状腺機能異常)でしょうかね。
それらでもなければポルフィリン症など考慮ですが、まぁあまり考えないで良いでしょう。あと、意識障害のDO DONTは有名であり、ビタミンB1を測定したのなら、一度はチアミンを入れても良いと思います。

意識障害のワークアップとしてじゃあ検査は何すればいいの?です。
●意識障害の検査
必須採血:CBC  浸透圧 Chemo(腎機能、電解質、肝機能) アンモニア 血ガス 血糖
追加採血:ビタミンB1(Wernicke)・B6(痙攣のとき)、薬物血中濃度(使用している薬剤が痙攣や意識障害を起こしうるか常にチェック)、副腎・甲状腺機能、トライエージ、検体保存(後々で何かがわかるかも)
画像評価:頭部CT、頭部MRI
生理検査:心電図、髄液

あと、さっき言っていたNCSEですが。以前まとめたものをかいつまんで転載します。

NCSEは主に複雑部分発作あるいは単純部分発作が30分以上持続するか,回復なく30分以上反復する状態の事を言います。日本語でいうと非けいれん性てんかん重積です。
側頭葉病変のみならず前頭葉,頭頂葉,後頭葉の病変によっても生じうる。

近年は脳波異常+非痙攣性の臨床症状と定義されるみたいです。
古典的な臨床像として、複雑部分発作:凝視、反復性の瞬目・咀嚼・嚥下運動・自動症、複雑部分発作重積:意識混濁、意識変容が見られる。
複雑部分発作型のNCSEは昏睡状態を呈することが多いです。ICU領域で痙攣を伴わない昏睡例で8%がNCSEとの報告もあり、原因不明の昏睡では脳波を測定することが勧められます。

具体的にNCSEを想起する兆候としては、
●具体的にNSCEを想起する徴候
①眼球位腫・運動障害
 凝視
 眼球共同偏椅
 自発眼振様眼球運動
②自動症
 同じ言動の反復:瞬目,岨噸,礁下
 舌祇めずり
 鼻こすり
 パントマイム様顔而自動症
③急性意識障害
 昏睡状態
 意識変容
 意識レベルの変動
④遷延性意識障害
 遷延性植物状態
 意識レベルの変動
⑤過換気後遷延性無呼吸発作
⑥反復性意識消失発作
⑦高次脳機能障害
 失語
 クリュヴァー・ピューシー症候群
 健忘
⑧認知障害
 認知症
 異常言動
⑨精神症候
⑩急性心静止
⑪発作性・反復性・原因不明の神経症候
⑫発作間欠期における顔面や四肢の小さなミオクローヌス

NCSEの診断ってじゃあどうするの?ですが、
脳波異常!+抗痙攣薬の反応性+発作性に臨床症状が出現の3つがそろえば診断
といっていいようです。

治療は痙攣に準じますが、僕が覚えたものを記載しておきます。
●急性期症候の治療
NCSEによる重篤な急性症候(意識障害、無呼吸発作)
①セルシン5~10mg iv ⇒ 5~10分後にアレビアチン250mgを5分以上かけて投与
ホストインやフェノバルビタールも可
② ①に不応ならばICU管理下でドルミカム (0.2mg/kgをゆっくりiv ⇒ 0.1~0.5mg/kg/時を持続静脈投与)
*セルシンでは鎮静作用と呼吸抑制作用が前面に出るため、高齢者・呼吸不全では慎重投与

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