概論
- グラム染色は,安価で迅速にできる検査で,形態と染色性から菌の推定が可能・炎症細胞の出現や貧食像の確認も可能であるという長所の一方で,場所や設備(顕微鏡)が必要で,実施者の検体処理の技量や熟練した判定能力などに検査結果の判定が左右される.
- グラム染色の感度は43~100%,特異度は11~94%のばらつきがある.日本呼吸器学会誌 2(4):343-348, 2013.
- 自己融解酵素を有する為に培養困難な場合がある.Chest.1998;114:1588-1593.
- 受診前に他の医療機関で抗菌薬の投与がされていても,尿中抗原の陽性率に有意差はなく,尿中抗原検査はすでに抗菌薬が投与されている 患者にも有用.北臨技会誌.2017;15(1):2-6.
- 喀痰のGeckler分類と尿中抗原の陽性率に有意差はない.北臨技会誌.2017;15(1):2-6.
- 発症3日以内に検査をした場合と4日以上経過した場合で比較をしたところ,発症3日以内に検査をしたほうが尿中抗原の感度が良い.北臨技会誌.2017;15(1):2-6.
- 以前より喀痰グラム染色・喀痰培養検査・尿中抗原検出キット(BinaxNow)があった.近年,喀痰を検体に用いる肺炎球菌抗原検出キットであるラピランが登場している.日本呼吸器学会誌 2(4): 343-348, 2013.
各種検査陽性率
検査特性 日本呼吸器学会誌.2013;2(4):343-348.
迅速抗原検査の日数に拠る感度の変化 日本呼吸器学会誌.2013;2(4):343-348.
Binaxの添付文書上には,尿中の肺炎球菌英膜抗原は症例によって異なるが,尿中に排出されるのは通常症状出現後3日目以降であり,発症後間もない検体では検出できない恐れがある」とある. 一方で2013年の研究では,
と,BinaxNowの場合には,0日で感度最大,以後減少した.
ちなみにRapirumの場合,0日と2日目で感度が最大になる.
特異度はほぼ変わらず.
尿中肺炎球菌抗原の陽性期間
- 7.3週という報告や、1週から3.4週という報告もある.Scand J Infect Dis. 2006;38:166-171. 日本呼吸器学会雑誌. 2003;41:521-525.
交差反応の問題 Infect Immun.1993; 61:3076-3077.
- 莢膜多糖体抗原はすべての S. pneumoniae の serotype に共通であるだけではない
- 他のStreptococcus 属 Milleri グループ(S. mitisやS.oralis)でも共通である.
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