概論
- ステロイド治療後の糖尿病発症は1年未満がほとんど
- 頻度は5~25%
- ステロイド糖尿病ではインスリン抵抗性が主病態のため,食後高血糖,食後高インスリン血症.
- 特徴は食後の高血糖.早朝空腹時血糖値は低い傾向.
- プレドニゾロンのT1/2は2.5時間だが組織での作用持続時間は12時間以上
- 朝1回のプレドニゾロン内服により昼食後〜夕食後の血糖値が上昇
- 35歳以上でヒドロコルチゾンを使用する場合,糖尿病発症リスクは 40mg/日未満で2倍,40~79mg/日で 3倍,80~119 mg/日で 6 倍,120 mg/日以 上で10倍.Arch Intern Med.1994;154:97-101.
- 単純換算するとプレドニンでは10mg/日未満で2倍,10~19mg/日で3倍,20~29 mg/日で6倍,30mg/日以上で10倍.
機序
- 肝臓での糖新生の亢進
- 骨格筋,脂肪組織における糖の取り込みの抑制
- 脂肪組織において脂肪分解を促進し血中 遊離脂肪酸を増加させる
- 膵臓におけるグル カゴン分泌の増加,インスリン分泌の低下
モニタリング項目
- 昼食後〜夕食後の血糖値測定
- 短期間の食後高血糖を反映しやすい1,5AGやグリコアルブミンを用いる
- 糖尿病の発症はステロイドの使用量に比例
- ステロイドパルス療法,重症炎症,高カロリー輸液時は厳重な血糖管理を行う.
非インスリン治療薬によるステロイド糖尿病の管理
・ステロイド糖尿病ではインスリン抵抗性が主病態のため,食後高血糖,食後高インスリン血症となる.
・糖尿病治療薬として食後高血糖改善系またはインスリン抵抗性改善薬系が適している.
・インスリン抵抗性改善作用を有するチアゾリジン誘導体やビグアナイド薬,もしくはαグルコシダーゼ阻害薬を第一選択とするのが病態生理にかなう.
参考文献)
medicina.2014;51(8):1466-1470.
medicina.2008;45(9):1653-1657.
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