Glasgow Blatchford scoreを用いて,上部消化管出血のリスクを評価,0点ならば外来でフォローアップ可能. Hb<7g/dlであれば,輸血を考慮 BUN/Cre>30であれば上部消化管出血を考慮.高齢であれば下部消化管出血を考慮. PPIは上部消化管出血を疑う患者で行うべき. |
消化管出血の鑑別診断 Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
- 上部消化管=Treiz靭帯より口側,下部消化管=Treiz靭帯より肛門側
- メレナは少なくとも50mlの出血で生じる.Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
ERにおける消化管出血の判断 研修医当直ご法度第6版. 2017;100-103.
上部消化管出血のClinical decision rule Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
- 年齢,全身状態,併存疾患,Hb,頻脈,低血圧,メレナ,輸血必要群,直腸診・嘔吐で新鮮血,NG tubeで血性内容物,敗血症,BUN高値,PT上昇,アルコール依存症,悪性腫瘍,社会サポートを受けていないことがリスクとなる.
出血源の検索 Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
便の性状:
- メレナは上部消化管出血を示唆する(感度80%,LR 5.9)
- 便潜血陽性は下部消化管出血の検索にしばしば用いられるが,上部消化管出血を完全に除外出来ない.
- グアヤック試験の上部消化管出血に於ける感度は17.9%.
NGチューブによる吸引:
- 血性のNG tubeでの吸引物に於ける上部消化管出血のLRは11
- 陰性でも,LR0.6と診断有用性に乏しい.
- 上部消化管出血に対する感度は,42-84%と幅がある.
- 吸引物が血性であれば,再出血のリスクとなりうる病変がある可能性:特異度75.8%
- 結論として,不快で疼痛を伴うNG tube挿入によって緊急内視鏡の必要性を決めることができない.
BUN/Cre比:
- BUN/Cre>30であれば特異度93%,LR7.5で上部消化管出血である.
年齢:
- 50歳未満は上部消化管出血の可能性を高める(特異度92%,LR3.5).
治療について Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
- エキスパートオピニオンとして,血小板は5万以上を維持することを目標とする.
- ワーファリンリバースは行うべきである.
- 6−12時間以内に内視鏡を行う患者でINRが過延長している場合にはPCCもしくはFFPを考慮すべきである.
- ダビガトランやリバロキサバンなどDOACを用いている患者での理想の治療戦略は不明瞭.イダルシズマブはダビガトランのリバースに有用である可能性がある.
- 輸液は抗凝固薬の腎代謝を促進しうる.
- PPIは急性上部消化管出血に対して再出血を防ぐことが知られており,勧められる為,上部消化管出血が疑われる場合には投与すべき.
- ソマトスタチンとオクトレオチドは死亡率改善に効果はないとコクランレビューで記述ありだが,静脈瘤による上部消化管出血に対してソマトスタチンを投与すると,出血の持続や輸血を減らしうる.
- バソプレシンは静脈瘤に対して用いてこられたが,冠動脈虚血や腸管虚血を来すため推奨できない.
- 肝硬変の患者では感染症を来しやすく,7日間で36%が感染症を来す事から,CTRXを予防的に用いる.
- トラネキサム酸の有用性はまだ結論を得ておらず,現在臨床研究が進行中.
輸血はHb7.0g/dlを切ってから N Engl J Med 2013;368:11-21.
restrictive strategy :transfusion when the hemoglobin level fell below 7 g per deciliter
liberal strategy:transfusion when the hemoglobin fell below 9 g per deciliter
内視鏡検査について Emerg Med Clin North Am. 2016 May;34(2):309-25.
- 頻脈,低血圧症,血便,NG tubeの血性吸引物がある場合,12時間以内に上部消化管内視鏡を行うと死亡率を改善しうる.
- 吐血がある場合,上部消化管内視鏡検査を行う.
- 緊急大腸内視鏡検査は前処置が行えず,11%の症例で見逃す.
タイミング Endoscopy. 2015 Oct;47(10):a1-46.
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