いつも上手いですね。GIMでは凝ったタイトルをつけなければならないのですが、この本日の表題もなかなか上手いことを言っています。
今日の症例は蛋白漏出性胃腸症、40歳初発のEBVによるIM、IgG4関連疾患に合併したGoodpasture症候群でした。どれも興味深かったのですが、最も面白かったのは40歳初発のEBVによるIMでしょうか。
IMの診断について改めて調べてみました。
まずは各症状の感度・特異度です JAMA. 2016;315(14):1502-1509.
症状については非特異的なものが多い印象です.
所見ではpalatine petechiaeが感度は日ういものの特異度が高く、LR+も5.3とrule inするにはもってこいの所見です。ちなみにpalatine petechiaeとは下の様な点状出血の事を言うようです.Clinical Outline of Oral Pathology: Diagnosis and Treatment
その他として後頸部リンパ節や腋窩リンパ節,鼠径リンパ節腫脹が有用です.
若年と中年では,症状の出方に違いがあるみたいです.JAMA. 1999 Feb 3;281(5):454-9.
中年の場合には,若年に比べてリンパ節腫脹や咽頭痛が少なく,肝腫大や黄疸の頻度が多いようです.
検査所見で言うと,やはり有名なのは異型リンパ球の出現でしょう.JAMA. 2016;315(14):1502-1509.
異型リンパ球の出現だけではなく,リンパ球増多や単球増加も有用な検査所見といえます
IMの原因ウイルスはEBVだけではなくその他様々なウイルスが原因となりえますAm J Med. 2007 Oct;120(10):911.e1-8.
ただ鑑別疾患としてはA群溶連菌や単純なウイルス性咽頭炎も忘れてはなりませんね.
EBVの抗原・抗体には様々なタイプがありますが初感染を示すパターンはと言うと以下の用になりますJAMA. 1999 Feb 3;281(5):454-9.
Virus capsid antigen抗体、early antigen抗体、EBV nuclear antigen抗体を用います
- VCA-IgMは急性期に検出され3〜6カ月後には陰性化します.
- VCA-IgGは急性期から陽性化し回復期に上昇し以後陽性が持続します.
- EBNA抗体は感染後6~12週間後に陽性化し生涯陽性が持続します.
診断のalgorithmとしては一例としてですが以下のようになります.Am Fam Physician 2004;70-1279-87,1289-90.
軸としてはEBVを軸に,その他ウイルスの可能性を考慮していくという思考の流れです.
40歳男性で、性交渉歴(海外含め)多数で、まさかEBV初感染によるIMだとは…。
IM一つとっても大変奥深いですし、原因や鑑別となるウイルス・細菌も念頭に今後診療しようと純な眼差しでこの記事を書いています.
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